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こんにちは。
ついこの間年が明けたかと思えば、もう来週は2月です!
年々月日が経つのが早まっていく気がします。
さて、「パッシブデザイン」という言葉をご存知でしょうか?
太陽や風といった自然エネルギーをうまく住宅に取り入れ、快適な室内環境を機械の力をあまり使わずに作り出す設計手法です。
言葉は知っていても、具体的にどんな住まいになるのかイメージしにくいという質問もよく聞きます。
そこで、今日は「パッシブデザイン」とは何か、どんな手法で設計するのかということをお伝えします。
▼目次
・パッシブデザインとは
・パッシブデザイン、5つの手法
・パッシブデザインの注意点
・まとめ
パッシブデザインとは
パッシブデザインとは、太陽や風などの自然エネルギーを生かして快適な室内環境をつくる設計手法です。
パッシブデザインで大切になるのは、「太陽の光」と「風」です。
例えば、夏の工夫を描いたこちらの図。
画像引用:環境共生住宅推進協議会HP
https://www.kkj.or.jp/contents/intro_sh/passive_sh01.html
夏の太陽は、高いところからギラギラと照らしてきます。
これは暑いので、ひさしや軒を長くして、できるだけ遮ります。
代わりに、風が流れるように窓の位置を工夫します。
庭に緑があると、少し風の温度が下がるので最高ですね。
そして、屋根や外壁は、暑い外気の影響を受けないような断熱性能の高いものでつくります。
こうすることで、夏でもクーラーを使うのは昼間の暑い時間帯だけという暮らしが叶います。
クーラーが切れるたびに目が覚める寝苦しい夜も解消です。
いったん冷えた空気を外に逃さないので、寝る前に1時間くらいクーラーをつければ室温を下げたままキープできるからです。
クーラーをかけ続けなくてもいい暮らしなら、家族の健康を守れそうですよね。
画像引用:環境共生住宅推進協議会HP
https://www.kkj.or.jp/contents/intro_sh/passive_sh01.html
また、寒い冬はできるだけ太陽の光を家の中に取り込めるよう、南側に窓を大きく取ります。
断熱性の高い住宅なら、昼間はエアコンや床暖房をつけなくてもぽっかぽか。
断熱性の高い屋根や外壁で、夜になってもその熱を逃しません。
パッシブデザインの住宅では、例えば朝晩が冷え込む11月になっても、まだ暖房をつけなくても大丈夫という例もあります。
設備機器に頼らないということは電気代も安く済みますよね。
省エネルギーでランニングコストのかかりにくい暮らしが叶います。
パッシブデザイン、5つの手法
パッシブデザインで使われる代表的な設計手法は次の5つです。
1. 日射遮蔽(夏のパッシブデザイン)
夏の太陽の光はまぶしく暑いので、できるだけ室内に取り込まない工夫が必要です。
例えば、軒やひさしを長く出して太陽光を遮る、太陽光が当たってしまうガラス窓は日射遮蔽型のLow-eガラスにするなどの工夫をします。
軒を出せない場合は、可動テントや昔ながらのすだれを使うのも有効です。
2. 太陽熱利用(冬のパッシブデザイン)
冬はできるだけ太陽の光を取り込み、ぽかぽかとあたたかい室内環境を作ります。
冬の太陽は低い位置から照らすので、部屋の奥まで光を導けるような建物の配置にし、窓を多くして光を取り入れます。
断熱性能の高い住まいなら、昼間にあたたまった空気の熱で夜になっても暖房効果を保つことができます。
3.昼光利用
太陽の「明るさ」も大切な自然エネルギーです。
南側の部屋はもちろん、北側の部屋でも適切な窓を配置すると、安定した光を取り込めます。
昼間は電気をつけなくても明るく過ごせますね。
また、奥の部屋や廊下には、窓がなくても光が届くよう壁を反射させるなどの工夫で光を導く設計をすることもあります。
4.自然風の利用
風がうまく家の中を通り抜ければ、涼しさを感じ、室内の暑い空気を外に逃してくれる効果があります。
敷地ごとに違う風の流れを読み取り、適切に窓を配置します。
また、暑い熱は上へ上へと移動するので、1階から入った風が吹き抜けや階段を通って自然と抜けていくような「立体通風」ができる設計も行います。
5.高断熱・高気密化
冬は、太陽で温められた室内の空気を外に逃がさない。夏は、暑い外気の影響を受けないようにする。
そのために大切なのは、建物の「断熱性」「気密性」です。
建物をしっかり包み込んで内外の温度差をなくし、すき間を減らして温度を逃さない設計ですね。
イメージとしては魔法瓶のような感じです。
室内温度をできるだけ一定に保つことができるので、どの部屋も涼しく温かいまま快適に過ごせます。
パッシブデザインの注意点
パッシブデザインをうまく取り入れるには、気をつけておきたいこともあります。
敷地選びが重要
パッシブデザインをうまく取り入れるには、「敷地の自然環境」がとても大切です。
太陽の光を十分取り込めるか、風が抜けるのか、隣の家との間隔や周囲の山の高さなども見極めて購入したいですね。
パッシブデザインを理解した設計者と家づくりを
パッシブデザインの住まいは、設計者なら誰でもできるというわけではありません。
適切に取り入れた設計をするには、知識と経験が必要です。パッシブデザインを積極的には取り入れていない設計者も、たくさんいるのが実情です。
パッシブデザインを理解して、実績もある設計者を探しましょう。
施工実績を見せてもらったり、設計者の考えを聞いたりすると、判断しやすくなりますよ。
まとめ: 自然エネルギーを活用して、快適な室内環境を
いかがでしたでしょうか?
パッシブデザイン、と横文字で聞くと「なんだろう?」と思ってしまいますが、太陽や風を上手に取り込んで、快適に暮らすための設計手法とわかれば、とても共感していただけると思います。
使い勝手やデザインも大切ですが、長く気持ちよく住まうには、知っておきたい考え方ですね。